秋の味覚の代表格であるさんまが1kg3万8千円と言う驚きの価格。1尾あたりの店頭価格は5980円になるそう。さんまの漁獲高が年々減ってきているとは言え、なぜここまで高騰するのか。もう庶民の口には入らない超高級魚になってしまうのか。その理由を調べてみた。
庶民の「さんま」に手が届かない
北海道の釧路漁港は、さんまの水揚げ高が日本屈指の漁港として、多くの人に知られています。
7月15日に水揚げされたさんまは、さっそく競りにかけられ、1kg3万8千円と驚きの値段が付いたそうです。
さんま1尾あたりの平均重量は150g前後ですから、基準となる単位重量で除するとこうなるのです。
さんまの漁獲高が年々減って生きている事が知られていましたが、ここまでつり上がると手が届かないでしょう。
さんまが獲れる時期は
さんまの流し網漁は今年は7月8日に解禁されたそうですが、全く網にかかりませんでした。
その流し網は15日に初めてさんまを捉え、競りにかける事ができる漁獲高がやっと現れたのです。
黒潮と親潮がぶつかる三陸沿岸の5月から6月にかけて、さんまは北上回遊し、7月に北海道に到達します。
冷たい海水を好むさんまは、そのまま北上を続け、北太平洋を回遊して秋ごろ再び日本近海に戻ってきます。
晩春から初夏にかけて北上するさんまは日本沿岸を回遊しますが、再来するルートはずいぶん沖合になります。
群れが異なるさんま
冬から春、そして夏へと季節が進む北半球の海水温度は、季節と共に上がっていきます。
海水温の変化を察知したさんまは環境適合をすべく、回遊進路を北へと進め、三陸沖や北海道沿岸が漁場になります。
晩春から初夏にかけて北上するルートのさんまの群れと、秋ごろ日本に再来するさんまの群れは別物のようです。
昔は北上ルートのさんまは豊富に獲れましたが、近年はかなり、相当、獲れなくなっているようです。
水産試験場が行う今年の試験操業で、全ての漁業航海において、1尾しか捕獲できなかったそうです。
秋季に日本沿岸に再来するさんまの群れがどの程度の規模かは、今のところ判りません。
秋季棒受け漁のさんま
近年漁獲高と水揚げ高が減少傾向をたどり続けているさんまですが、晩夏から初秋は増えています。
先述したように、北上ルートの回遊群と、南下ルートの回遊群は、もともと違う群れのようです。
北上ルートの回遊群が減っている事実は変わりませんが、南下ルートの回遊群は大きな群れのようです。
毎年高騰を続けているさんまですが、漁獲高、水揚げ高が増える時期には、流通価格が落ち着くと思われます。
さんま高騰まとめ
1尾6000円の店頭価格には驚かされますが、ほぼ間違いなくご祝儀相場であった事でしょう。
北上ルートの回遊群が減っていますが、南下ルートの回遊群は今年もそこそこに治まると思われます。
しかし減っている事実は否定できず、地球温暖化が影響した結果として、さんまが高騰しているのです。
地球全体の海水温も上昇しているので、昔適していた日本近海から群れが離れていると考えられます。
中国やロシア、韓国、北朝鮮、台湾も海洋への漁業進出を強め、乱獲に近い様相を呈しています。
初夏に来遊する群れが減り、初秋に再来遊する群れも減っているのは、2者要因が関与していると考えられます。