特別警戒級勢力と規模の台風10号の被害が想定以下であった事は幸いでしたが、日本近海の海面温度が30℃に迫る現在、本格的な台風シーズンに入ったので、特別警戒級の台風が次々襲来してもおかしくありません。そもそも台風の強さや規模など、海外のハリケーンやサイクロンと比べてどう定められているのか。
台風の定義を確認します
台風は太平洋の北西や南シナ海などに位置する熱帯低気圧で、最大風速が17.2m/s以上に発達したものです。
「大きさ」と「強さ」の定義
台風の「大きさ」と「強さ」を一定の基準で分類し、客観的な評価にすると、その勢力が分かり易くなります。
「大きさ」とは風速15m/s以上の強風域の広さを、「強さ」とは発生する風速によって判定します。
「大きさ」の分類
風速15m/s以上吹き荒れる範囲の半径が、800km以上が「超大型」、500kmから800kmが「大型」と分類します。
かつては「中型 (並みの大きさ) の台風300 – 500km」、「小型の (小さい) 台風200 – 300km」、「ごく小さい台風< 200 km」という分類もありましたが今は廃止されています。
「強さ」の分類
国際基準の違い
最大風速が17.2m/sを超えると台風やサイクロンと認識されるのに対し、ハリケーンは32.7m/sを超えた物に限られます。
最大風速が20m/sを超えると、建設現場の足場が倒壊する事があり、多くの家屋に被害が出始めます。
日本の基準では17.2m/sを超えると台風と認識しており、一定の準備や対策を講じる事を促しています。
一方ハリケーンは32.7m/s以上なので、弱い又は中程度の勢力と言う物は含まない事になります。
弱い又は中程度の台風でもしばしば被害が起こるので、日本基準はより慎重になる事を求めていて親切に感じます。
台風の月別発生数
2020年は最終的に何個発生するか分かりませんので、2019年から過去10年分を見てみます。
この表を一瞥して解る事は、夏から初秋にかけて圧倒的に多くの台風が発生しているという事です。
真冬の12月から2月、春本番を迎える3月から5月にかけても発生が見られますが例外的な印象です。
台風の月別上陸数
発生した台風全部が日本列島に上陸する訳ではなく東シナ海から中国大陸に上陸するものもあります。
そこで日本列島に上陸する台風は年間何個くらいあるのか、これを月別で見るとはっきりした傾向が解ります。
晩秋の11月、真冬の12月から2月、春本番を迎える3月から5月にかけて上陸個数はゼロです。
やはり夏から秋にかけてが最も多く8月から9月が台風シーズン本番と言われる理由が良く解かります。
更なる時代の変化
過去10年分のデータに限っていますが、もう一度先ほどの表を見て頂くと、別の傾向を捉える事が出来ます。
明確な気象記録データが残っている年数に比べると、過去10年分は僅かな期間になりますが、それでも傾向が出ています。
発生件数表を見ると、2010年は少なく14個ですが、2011年は21個、2012年は25個になっています。
各年における台風発生個数に増減はあるものの、徐々に増えつつあることが見て取る事が出来ます。
かわって台風上陸数を見てみますが、2010年の2個、2011年の3個から増えて、5個平均の様相を感じます。
台風発生数が増えると、上陸する台風が増えるのは比例相関関係にあるので、納得できる感覚があります。
なぜ台風が増えるのか
太平洋南方の海上で発生した熱帯低気圧が勢力を増し、中心付近の最大風速が17.2m/sを超えると台風になります。
一般に海面温度が28℃付近に達すると、台風が発生、発達しやすくなる条件がそろうと言われています。
台風シーズンと言われる6月から9月にかけて、海面温度が28℃付近かそれ以上になる年が多くなっています。
地球の温暖化で海水温度も上がってきているので、海面温度が28℃以上の海域が北上しているからです。
地球温暖化の原因は
台風が増える原因は地球温暖化に伴う海水温上昇ですが、地球温暖化の加速はいつから始まったのでしょう。
人々の生活に必要なエネルギー源を、化石燃料に求め始めた頃から始まったと考えるのが妥当です。
それは日本人が歴史の授業で習う「産業革命」からであり、その中心地イギリスではもっと前からです。
先進7か国を中心として広がった今の生活様式は、人智を尽くして見出す、動物には出来ない人間特有の知恵の結晶です。
これによる恩恵を先人たちのみならず、私達も受けているので否定できませんが、多くの影響を与えていたでしょう。