よく「学」ぶ

「日経平均終値25,000円を29年ぶりに回復」に警戒すべき大きな理由

29年ぶりの株価に踊るべきではない

ついに日経平均株価は29年ぶりに25,000円台を突破。NYダウは30,000ドルを伺う様相。コロナ禍が長引き消費者経済が大打撃を受けている中で、株価は安定維持を続け、アメリカでは史上最高値を試す局面を「異常」と捉えるべきではないかと感じている方の感覚は正常だと私は思います。

100年に1度の世界的な感染症

新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが全く収まらず、再びヨーロッパではロックダウンが始まりました。

世界中に広がる規模の感染症は「スペイン風邪」以来でほぼ100年ぶり、経験者はほぼゼロです。

100歳以上生きている方も多くいますが、その時は幼少期で、記憶もないのではないかと思います。

今のようにWEBもなければ、テレビやラジオもない時代では、情報を得る手段が少なかったはず。

当時全ての国が総動員しても、得る事が出来る情報は少なく、後世に残す媒体の紙は貴重品でした。

今生きている人のほぼ100%が過去の教訓を生かす事が出来ないパンデミックは混乱必死です。

恐怖のパンデミック

2019年12月に中国武漢で露呈したとされる新型コロナウイルスは瞬く間に世界中に広がりました。

欧米各国は1月からロックダウンと渡航制限に入り、遅ればせながら日本も3月には渡航制限が始まりました。

世界では、国外、国内を問わず、自由に移動する事が出来ていた環境が、180度変わってしまったのです。

ロックダウンを取った国々では、都市間の移動はもとより、家から出る事もままならない生活に入りました。

生活必需品を買い出しに行きたくても、家から出る人数が制限され、スーパーの入店者数も規制されました。

世界パンデミックの爪痕

人々に、移動制限、活動制限、自粛要請が普通に出回ると、今までのような社会経済活動が出来なくなります。

多くの会社はリモートワークを推進するので、自宅で業務を遂行すると、鉄道会社の収益が落ち込みます。

務める会社に出勤する人が減ると、定食屋さんに食べに行かなくなり、コンビニの売り上げも落ち込みます。

国境を股にかけて働く人々は国際移動が出来ないので、航空会社が大きな打撃を受けることになります。

爪痕の余波は止まらない

世界中全ての国々で起こっている事ですが、ビジネス・観光を問わず、来訪者がゼロになったのです。

世界的パンデミックで国際移動が制限されると、航空各社の国際線の稼働は著しく低下します。

これに伴って、ホテルや旅館、民宿どころか、違法合法を問わず「民泊」でさえ、悪夢の状態になります。

次に影響を受けるのは、百貨店、大手小売店、各種販売店などの小売り各社に影響が大きく出ます。

その次に出る影響は、国際移動に関係がない各国の国内需要に出始め、規模の大小を問わず各社が苦戦を強いられます。

コロナ禍は道頓堀付近の賑わいを消し去った。

上場企業でもリストラが

それはそうなるはずです。先日報じられたニュースでも「青山商事」「近畿日本ツーリスト」が大規模リストラを敢行するとの事。

「洋服の青山」で有名な青山商事は169億円の赤字計上で、国内店舗の160店を閉店すると言います。

旅行業界の雄である「近畿日本ツーリスト」は7000名の3割を削減するとの発表がありました。

東京証券取引所に上場する立派な企業でも、コロナ禍に耐えきれず、リストラを敢行するのです。

すでにコロナ禍で破綻した大企業

まず最初に航空会社各社がコロナ禍の影響を受けましたが、小規模な航空会社が挙がっていました。

その中で「タイ国際航空」が経営破綻したニュースには、多くの人々が驚いたと思います。

驚いた理由をあえて申し上げると、LCCではなくナショナルフラッグキャリアだったからです。

ナショナルフラッグキャリア(NFC)とは、国営の航空会社である場合が多く、破綻しないはずです。

かつてJAL(日本航空)が国営企業でありましたが、事実上の経営破綻をし、完全に民営化されました。

国営企業だからどうという議論はさておき、経営が芳しくない状態でコロナ禍が襲ってしまったのです。

国内企業ではアパレル業界の大手「レナウン」が経営破綻したニュースは記憶に新しいところです。

企業業績不調で所得減

コロナ禍によってリモートワークが進み、デジタルデバイスを扱う一部の産業が好調になる例外もあります。

ある関係者がリアルな実態を話してくれたのですが、自動車メーカーのダイハツは週休4日の社員が出たとの事。

またANAでグランドスタッフをしている知人は、「週に数日しか出勤していない。だって飛行機が飛ばないから。」とこぼします。

知人はANAの正社員ですが、月給は下がるばかりでなく、ボーナスも大幅カットになっています。

このように、ほぼ全ての産業が大打撃を受けている状態にあり、多くの雇用者が大幅に所得を減らしているはずです。

経済の理屈から考えてみる

「景気が良い」「景気が悪い」状態が大きな周期で循環しますので、これに伴って消費や設備投資が変動します。

景気が良い時は、消費や設備投資が活発化して、お金が動く総量が増え、給料やボーナスが増えます。

一方、消費や設備投資が不活性化する「不況期」では、お金の動きが滞り、働く人の収入が減る傾向になります。

不況になると仕事が減るので、働く人の収入が減るのは理屈ですが、心中は穏やかならぬものになります。

財布のひもは硬く締められて個人消費が減る影響は、全ての産業に及んで行き、不景気に輪をかけます。

コロナ禍の席巻で(一部産業を除く)、経済の悪循環に入っているのは間違いなく、多くの人が苦境に立っています。

株価最高潮の理由は

世界各国がパンデミックになったことで、各国政府は史上空前規模の経済支援策を打ち出しています。

アメリカではトランプ大統領が日本円換算で500兆円規模の経済対策を打つと表明しました。

安倍総理大臣(現在は菅総理大臣)も同様に日本円で200兆円を超える対策を表明しました。

アメリカと日本の最高位為政者が発した声明に市場は安堵し、全ての市場が落ち着きを回復しました。

また4年に1度のアメリカ大統領選挙の年は、市場が盛り上がると言うセオリーも効いていたのです。

違和感の根拠

各国政府が打ち出す大規模な経済対策は心強く、市場関係者に与える安心感は大きなものがあります。

その経済対策が如何に大きくても、消費者の主体すべてに行き渡り、コロナ禍の影響が無くならなければなりません。

でも実際は惨憺たる状態にあり、リーマンショック後に見た「炊き出し村」が今年は復活しかねません。

このような中で日経平均株価は終値で25,000円台を維持した、NYダウは30,000ドルを伺う様相と言います。

特にアメリカのNYダウ株価は、史上最高値を更新しそうな勢いで上げている事は異常に感じます。

私が感じる異常感が杞憂で終われば良いのですが、反対であれば、その反動はとてつもなく大きなものとして返ってきます。

市場参加者は「視界良好」で見て行きたいとの心理が働きますが、「まだはもうなり」の心境を持つべきです。

高い経済観念を持っている方はお気づきでしょうが、2019年には各種経済指標が落ち込み始めていました。

世界経済は8年から、長くても10年で一巡します。リーマンショックから11年が経ちました。

しばしば株価や為替、商品市況などは、必ずオーバーシュート(相場が過熱しすぎる事の表現)します。

コロナ禍がきっかけで、世界的な不景気入りをしても不思議ではない状態なので、今の株価は異常事態だと考える方が賢明です。

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