よく「学」ぶ

決して死亡者数が多過ぎるとは言えない「新型コロナウイルス」を厳重警戒すべき理由

アメリカで2万人の死亡者を出したインフルエンザや、日本で毎年10万人近い死亡者を出す肺炎に比べて、圧倒的に死亡者が少ない新型コロナウイルス感染症を甘く見ている人が多い現実。死亡者が少ないからと言って侮るべきではない理由を理解して、各自が感染拡大防止対策を厳格に講じましょう。

こんな人に読んでほしい

新型コロナウイルスの死亡者は少なく大したことはないと考えている

ほとんどの人は無症状感染か軽症で済むから警戒に値しない

若者は無症状が多いから、死ぬことはないし、俺には関係ない

新型コロナウイルスは従来型と違う

中国武漢の海鮮市場から広がったとされている新型コロナウイルスで世界中はパンデミックになっています。

動物の種類と同じかそれ以上の種類があるコロナウイルスは太古の昔から存在してきました。

コロナウイルスは哺乳類、鳥類、爬虫類などに媒介して感染が広がる事が解っています。

人間に媒介するコロナウイルスが問題になるので、これを「ヒトコロナウイルス」として区別されます。

ヒトに媒介するコロナウイルスは、今回の騒動以前は6種類存在すると認識されていました。

ところが新型コロナウイルスは、ヒトに媒介する7番目のコロナウイルスだと解ったのです。

従来型と何が違うのか

従来型のヒトコロナウイルスのうち、4種類は人から人へしか媒介しませんでした。

ところが別の2種類は、人から人へと限定することなく、種族を跨いで媒介したのです。

その2種類は2002年に発生したSARSウイルスと、2012年に発生したMARSウイルスです。

SARSはコウモリからハクビシンを仲介して人に、MARSはラクダから人に媒介したのです。

  

新型コロナウイルスは、SARSと同じコウモリを起源とし、今般ヒトに媒介したと考えられています。

種族を跨いで媒介した点が、人にだけ媒介する4種類のヒトコロナウイルスと異なるのです。

種族を跨ぐコロナウイルスの怖さ

コロナウイルスは動物の種族間だけに限定して媒介するのが原則と考えられていました。

ところがSARSウイルス、MARSウイルスに続いて、新型コロナウイルスは種族を越境したのです。

それがどうしたと思う人もいるかも知れませんが、軽く考えず一緒に考えてみましょう。

動物に媒介するコロナウイルスは、種族を跨ぐことはないのが原則と考えられてきました。

例えば人から人、犬から犬、猫から猫、雀から雀など、感染は同一種族に限られるという事です。

コウモリを起源とすると言われる新型コロナウイルスも、SARSと同じく媒介者がいるかも知れません。

でも最終的には、人に媒介して広がった事で、世界中が大パニックに陥っているのです。

種族を跨がないはずのコロナウイルスが、これを跨いだという事は、感染力が高い事を示しています。

感染力が高い新型コロナウイルスに無防備であると、恐ろしい勢いで感染者数が増えるのです。

新型コロナウイルスの怖さ

インフルエンザや肺炎の死亡者数に比べて、新型コロナウイルスは少ない状態にあります。

現時点での日本の感染者数に対する死亡者数は、およそ2150人程度に留まります。(致死率は下がっている物の高止まりです)

割合で言うと50人に1人であり、死亡する人は高齢者か基礎疾患(持病)を持つ人が多いと言います。

だから若者は「自分は関係ない」「死ぬことはないから怖くない」と思うのですが、果たしてどうでしょうか。

28歳の力士「勝武士」さんが5月13日に新型コロナウイルス感染によりこの世を去られました。

当時幕下の力士とはいえ、勝武士さんの体力に勝てる人が、一般人にいると思いますか。

通常人では耐える事が出来ない過酷な稽古を毎日こなす事が出来る若い力士がコロナに勝てなかったのです。

並外れた気力体力を兼ね備えた若い力士でも、勝てない時がある新型コロナウイルスを侮るべきではありません。

普通人である私達が、100%死なない、絶対に治ると言い切れない事は、致死率が物語っています。

勝武士さんの訃報を聞いた人は、ほぼ全員心から委縮したでしょう。これを忘れてはなりません。

IPS山中教授も警鐘を鳴らす

IPS細胞でノーベル賞を受賞された京都大学の山中教授はこのように述べられています。

「ウイルス感染症の中で比較すると新型コロナウイルスは決して致死率が高い方ではありません。」

「致死率は別として、昨年から今年にかけてアメリカではインフルエンザによる死者が2万人でています。」

「日本の新型コロナウイルス死者の20倍にのぼる数は、かなり驚異的な数字です。」

「でももし私がインフルエンザを発症しても死ぬことなく快癒できる自信があります。」

「それはインフルエンザに対する治療法、治療薬が確立されていて、医療従事者も慣れています。」

「しかし新型コロナウイルスは、ワクチンすら開発できておらず、有効な治療薬もない。」

「感染後発症する若い患者さんのうち、500人に1人の割合で重篤化して死亡しています。」

「高齢者や基礎疾患を持つ人だけの問題ではなく、若者も同じ危険性に晒されている。」

「500分の1の確率が、もし自分に当てはまったとしたら、たとえ若者でも死を意味するのです。」

以上のように山中教授が警鐘を発せられている事をしっかりと覚えておき油断しないようにしましょう。

弱い人を守るのが強い人

何百歩も譲って考えてみて下さい。勝武士さんの訃報は限りなく低い確率だったとしましょう。

気力体力溢れる若者が新型コロナで死に至る確率は、かなり低いという事が解ってきています。

そんな若者が新型コロナで倒れる事はほとんどないから、甘く見て安心してしまいます。

若者だけでなくほとんどの人は感染しても、無症状感染か軽症で済みますが、影響がない訳ではありません。

若くても勝武士さんのように新型コロナで倒れてしまう人がどこにいるか判りません。

皆さんの両親は中年から高齢者世代ですね。両親に移してしまうと最悪の結果が待っています。

自分の両親が無事ならばいいという問題ではないでしょう。みな自分の両親を気遣っています。

自分とは血縁がない高齢者でも、それを気遣う子や孫がいる事を忘れてはならないのです。

高齢化社会の日本では、感染するとどうなるか分からない人が多く暮らしています。

この事実を忘れることがなく弱い人を守るのが強い人だとの認識があれば行動は変わるはずです。

身勝手な感覚を捨てて、強い人ほど弱い人を守るのだとの意識を持って、新型コロナウイルス感染拡大防止に気を付けましょう。

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