新型コロナウイルスの猛威は世界中を席巻しています。コロナに目を奪われる中、アメリカではインフルエンザで2万人の死亡者を出している現実をご存知でしょうか。新型コロナが世界的パンデミックを引き起こす前の数字をどう考えたらいいのか。「保険制度」からこれを考えます。
アメリカでのインフルエンザ死者数は2万人超
2019年から2020年にかけて、アメリカではインフルエンザ死亡者数が2万人を超えました。
日本では毎年インフルエンザで亡くなる人の数は変化しますが、およそ数千人規模です。
新型コロナウイルスと違い、毎年のように世界各地でインフルエンザは感染を拡大します。
でもアメリカではインフルエンザによる死亡者が多いのでしょうか。2年前は6万人が亡くなっているのです。
医療保険制度とは
私達は国民健康保険や全国健康保険協会の各支部の一員として健康保険証を持っています。
保険証を持っていると、国や保険協会が、医療費の一部を負担してくれる有難い制度です。
健康体に生まれた人はあまりお医者さんに診てもらう事はありませんが、それでもたまにはあります。
診察費、治療費などの医療費を実費で支払うと高額なので、保険制度が相互扶助しています。
病気になりたい人などおらず、企図せず病気になった時に、お互い様の精神でカバーし合います。
医療保険制度は無料ではない
私達日本人のほとんどは、子供の時から病院で診察してもらう時、保険証を提示します。
医療機関で保険証を提示すると、医療費の多くが減免されますが、保険料を払っているからです。
医療保険制度に加入していない場合は、診察や治療にかかる費用は実費負担することになります。
その時の支払いを相互扶助で減免される医療保険制度に加入するには有料になります。
負担が減る割合は
病状や症状によって診療報酬は異なりますが、平均的な3割負担として考えましょう。
病院のレセプションで支払いを求められた額が3000円だとすると、正味では10,000円になります。
病院で診察や治療を受ける事はあまりありませんが、7,000円も負担が減る制度なのです。
もしこれが手術などの場合は何十万円にもなると、皆様のおかげで助かったと思うでしょう。
国民皆保険
国民健康保険や全国健康保険協会への加入推奨を続けてきた日本では「国民皆保険」と称されます。
「みな保険に入っている」事から「皆保険」と呼ばれるのですが、日本人には当たり前に感じますね。
でもこの「国民皆保険」と言われる医療保険制度は、世界中で共通の制度ではないのです。
アメリカにもない制度
アメリカでは4年に1度の大統領選挙が行われ、トランプ氏からバイデン氏へ職が移ろうとしています。
トランプ大統領の前のオバマ元大統領は「オバマケア」として国民皆保険の推進派でした。
その前に大統領職がトランプ氏へ移行したので、国民皆保険はアメリカで制度化されませんでした。
アメリカ国民の医療費負担
例え世界各国で医療保険制度が敷かれても、その負担割合はそれぞれ異なるでしょう。
またその国によって定められた医療報酬額も異なる事になるので、日本とは比較できません。
巷の風説で、診察や治療を受ける場合には、何万円や何十万円の医療費負担があると聞きます。
足が遠のく結果に起こる事
日本では少しの診察や治療では数千円の負担で済むところ、何万円や何十万円にものぼります。
決して安くない医療費負担が目の前に見えていると、おいそれと診察してもらう気にはなりません。
私は35歳の時にインフルエンザに罹りましたが、タミフルを処方してもらった事で快癒しました。
38℃を超える発熱が3日以上も続いたので診察してもらいましたが、二の足を踏んでいたら・・・
多くのアメリカ人は高額な医療報酬の支払いに二の足を踏み、インフルエンザを拗らせるのです。
その結果として、ワクチンや治療薬が確立しているインフルエンザでも、多くのアメリカ人が命を落としていると推察できます。
アメリカに皆保険があったら・・・
新型コロナウイルスによる死者数も、欧米とアジア異諸国で大きく異なっているのは周知の事実です。
そこには人種に刻まれてきたDNAの違いやBCG説など、諸説紛々してはっきりしていません。
でももしアメリカに国民皆保険制度があったならば、軽い症状のうちに診断してもらえたのです。
その診断に基づく適切な治療があれば、拗らす事はなく、死ぬ人は減った可能性があります。
日本に国民皆保険制度があって良かったと思いませんか。少なくとも私は感謝しています。