新型コロナウイルス感染症が蔓延して9カ月以上が経ち、政府による緊急事態宣言や都道府県の営業自粛呼びかけでも感染者数は増え続け、世界では死者が160万人を超えました。200万人以上の死者が出るのは時間の問題と言われる中で、社会経済活動を正常化させて良いのか考えてみましょう。
新型コロナ発生時期を振り返る
中国武漢が震源地と考えられている新型コロナウイルスは、2019年12月に世界中で注目を集め始めました。
若き中国人眼科医が「未知のウイルス感染症拡散の疑いがある」と警鐘を鳴らしたものの、中国政府は意に介しませんでした。
意に介さずどころか「余計な風説を流布するな」として眼科医を拘束して口を封じ、その警告を世界に発しませんでした。
拘束された眼科医は新型コロナに感染していたにも関わらず、拘束中に治療処置が施されず、彼は命を落としたのです。
中国国内では厳格な移動制限「ロックダウン」が行われる一方、海外渡航は許されて、日本にも200万人近い中国人の来訪がありました。
欧米をはじめとする諸外国でも同じことが起こり、瞬く間に新型コロナウイルスは世界中に広まりました。
拡散後の各国の対応
欧米諸国における感染者数と死者数がうなぎ上りになった事から、強制的な移動制限である「ロックダウン」が敷かれました。
ロックダウンとは都市を封鎖する事で、例えば東京都や横浜市の住民は、他の市町村に出入りする事が出来なくなります。
人々の移動を制限する事で、新型コロナに感染した人がウイルスを運び、さらなる感染者を出さない目的があります。
移動制限が厳しい国では、都道府県や市町村の境界を越境する移動範囲なんてものではなかったのです。
マンションに住む一家4人のうち、生活必需品を調達する必要最小限の1人だけが外出を許されるだけだったのです。
日本の緊急事態宣言はどうか
日本ではゴールデンウイーク前から緊急事態宣言が発令されましたので、多くの人が移動制限を受けました。
私達日本人がつかの間の休息を堪能する年次イベントは、年末年始休暇、GW、お盆休暇、シルバーウイークです。
1年に4回しかない大型休暇期間であるGWを、強制ではない緊急事態宣言を受け止めて、皆が自粛しました。
強制ではなく自粛レベルにも拘らず、日本国民の意識の高さから、新型コロナ感染者数は減り続けました。
世界各国では強制的なロックダウンが敷かれる中で、自粛レベルでも新規感染者数を減らした日本民族は大したものです。
「第2波到来」と言われて数か月
日本政府による緊急事態宣言が解除された後に、新型コロナ感染者数は増え続ける一途を辿りました。
「第2波の到来か」と言われ始めたのは7月ではなかったでしょうか。解除されると増える事を知りました。
日々の報道を聞き人々の危機感の高まりや、行政の自粛要請などが広まると、感染者数は減少傾向になりました。
全ての産業とそこで働く人のためにも、社会経済活動を元に戻したいのですが、やはり増えてしまうのです。
「GoToキャンペーン」展開は妥当か?
第2波か!?と騒がれて再び警戒感が高まった事で、このところ新規感染者数が減少傾向になっていました。
そこで「GoToイート」などのキャンペーンが打ち出され、徐々に社会経済活動の再開が始まりました。
シルバーウイークの各地の人出は、コロナ前の様相を呈するもので、コロナ禍を忘れさせるほどの混雑ぶりでした。
「お客様が戻ってきた」と旅行業界、宿泊業界、飲食業界、小売業界などから胸をなでおろす声が聞こえました。
でも数日の時間差をおいて、新規感染者数が激増し始めたので、活発な人々の活動が新型コロナを広める事実が浮かび上がります。
冬前の増加傾向に抱く危機感
今年の猛暑を乗り越えて秋を迎えたことで、「行楽真っ盛り」は3つの密ができやすい環境が生まれます。
秋が深まると風邪を引く人が増え、インフルエンザが流行し始める季節を間近に控える事になります。
その直前に新規感染者数を増やす「GoToキャンペーン」は、この冬の新型コロナの大流行を助長するのではないか?
当初、夏には収束するのではないかと考えられていた新型コロナは、減る事はありませんでした。
新型コロナの大流行が懸念される秋から冬前に新規感染者数が増える傾向は、パンデミック第2波を予感させます。
順当に考えたらこの冬は、新型コロナ感染者が爆発的に増えてもおかしくありませんから、同じ危機感を抱く方が多いと思います。
果たしてこれはどんな目が出るのか、単に恐れるのではなく、医学者や疫学者の見解も見ながら、別の角度からも考えて行きましょう。