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台風や大しけの後に車が炎上する事故が多発!車両火災が起こるメカニズム

台風や強風が吹き荒れたあと、海に近い地域では車両火災が起こる事が知られています。台風襲来時や直後だけでなく、1週間以上もあとで炎上する事があります。どうして車両火災が起こるのか、その実態とメカニズムを知り、住む地域によって求められる対策を心得ましょう。

車が突然燃える

整備不良やエンジンの異常加熱、燃料漏れなどがあると、車が燃える事もあるだろうと思います。

車に特別な異常はないにもかかわらず、海に近い地域で台風が通過した後などに、突然の車両火災が起こる事があるそうです。

実際に2018年台風21号が上陸した神戸市や芦屋市などで、20台以上の車から発火しました。

台風に伴って起こった高波と高潮によって、沿岸地域が冠水し、車室内まで水没する車が出たからです。

海沿いの宿命

神戸市や芦屋市は大阪湾に面した街で、海沿いには多くの商業施設や住宅地が立ち並びます。

芦屋浜のマンションやポートアイランドの街並みを見ると、海が間近な環境にあることが解ります。

このような街では、普段から海風や浜風が吹いているので、一定の塩害を受ける事になります。

大きな荒波が打ち寄せる台風など荒天の時には、塩水の飛沫がかなりの範囲に吹き込みます。

車が燃えた原因

電気系統に不具合が起こった事で発火しており、トラッキング現象が主因であると言われています。

トラッキング現象とは、電気が通ってはいけない部分に通ってしまい、いわゆる「ショート」が起こる事です。

例えばコンセントに挿したプラグに多くの埃が溜まり、その埃が空気中の湿気を吸うと起こります。

水分を吸った埃は微弱な電気が流れ始め、プラグに絶縁力が亡くなると短絡による火災が起こります。

これと同じ現象が車のバッテリーやヒューズボックス、制御基板、ハーネス継ぎ目などで起こる事があります。

真水でも電気を通しますが、塩分を多く含んだ海水の飛沫は、より電気を通しやすくするので、塩分が輪をかけたのです。

バッテリーやヒューズボックス

ほとんどの方がご存知だと思いますが、念のため見ておきましょう。

バッテリーには+と-の端子に配線が接続され電気が供給されています。

ヒューズボックスには各種容量のヒューズが過電流に備えて挿入されています。

バッテリー端子やヒューズボックスには絶縁と埃防止のカバーが取り付けられています。

それでもエンジンルームの隙間から海水の飛沫が吹き込むと絶縁不良になります。

大きい塩分の影響

普通程度の潮風で車両火災が起きるとは考えにくいのですが、台風の時は起こりえるでしょう。

海岸に打ち寄せる荒波が砕けた時に、暴風が海水をしぶきに変えて、陸地に吹き込んできます。

周囲の物全てが海水のシャワーを浴びたような状態になるので、自動車への影響が出るでしょう。

また異様に低い気圧の台風が接近すると海水面が吸い上げ効果を受けるために「高潮」が発生します。

高潮は、海水が防潮堤や防波堤を越水してくることで、地域一帯が冠水してしまう場合もあります。

(酷い場合は津波のように海水が押し寄せる事があり、さらなる注意が必要です)

車室内に海水が流れ込んだ場合はかなり危険です。速やかに処置をしなければ出火する可能性大です。

高潮で冠水したら

車室内に浸水したり、車の底部が浸かるほどの潮水に触れてしまったら、バッテリーの端子を外しましょう。

そして自分でエンジンをかけない方が良いでしょう。エンジンを架ける時に電気が通るので危険です。

難なく始動できたとしても、プロの整備士や整備工場に相談して、よく点検してもらってから走らせる方が賢明です。

台風の2週間後に突然発火して車両火災につながった例もあったそうなので、素人判断は禁物です。

バッテリー端子を外す

バッテリー端子の-側だけでいいので、台風や高潮が来る前に外しておくと、電気が流れません。

バッテリー端子が繋がっていると電気が流れ続けるので、短絡(ショート)による電気火災が発生するのです。

車を避難させましょう

台風や大しけの時だけでもいいので、一時的に車を内陸部に移動させると被害を未然に防ぐ事が出来ます。

潮水の影響を受けなければ車両火災にはなりませんので、台風や大しけが来る前に移動させましょう。

もし車両火災が始まると、付近にも火の影響が及ぶので、周囲の車両が何台も類焼してしまいます。

自動車にはガソリンやエンジンオイルが積まれているので、燃え始めたら鎮火させるのは至難の業です。

自宅ガレージの車が燃え始めると、おそらく家まで燃えてしまうのではないでしょうか。

電気自動車など

ハイブリッド車や電気自動車が多くなっていますが、ガソリンエンジン車よりも警戒が必要です。

これらは電気を貯蔵しておくバッテリーの容量がかなり大きいために、その危険性が高いと考えられます。

漏電や短絡事故が起きにくい様に絶縁シールされている設計ですが、もし海水が入り込んだ時はガソリンエンジン車よりも影響大でしょう。

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