この数年は毎年大型の台風による被害が日本各地で発生しています。2017年台風21号に続き、2018年台風21号は各地に甚大な被害をもたらしたことで、台風の大型化による被害は毎年の事になると、気象庁や専門家が警鐘を鳴らした理由を受け止めて考えます。
3年前から台風被害が顕著になっている
東西南北3000km以上の範囲にわたり太平洋に面する日本列島は、大昔から台風の被害を受けてきました。
50年以上前になりますが、第二室戸台風や伊勢湾台風は、多くの犠牲者を出した史上最大規模の台風でした。
その後も毎年台風頻発地域と通過地域は被害を受けていますが、本州が受ける被害は限定的でした。
しかし2017年から、本州も台風の甚大な被害を顕著に受け始めたと記憶を遡る事が出来るでしょうか。
語られない2017年台風21号
遡る事3年前の10月23日頃、静岡県掛川市付近に上陸した台風21号は、1991年以来「超大型」の状態で上陸しました。
日本列島上陸時の中心気圧は950hPaでしたが、強風域が800kmと広く近畿地方や東海地方を暴風域に巻き込みました。
進路(通過ルート)の西側にある近畿地方は可航半円にありながらも、実は多くの被害が出たのです。
台風がもたらす暴風や強風は、家屋の屋根に被害が出やすく、その当時の被害例はこのような物でした。
重量鉄骨造3階建ての堅牢なマンションの屋根材が、広範囲にわたって剥がれ飛ぶ被害に遭いました。
建築業に携わる私に入る被害件数だけでも数十件に及んだので、全域の被害件数は夥しい数でしょう。
2018年台風21号
近畿地方と言うべきか関西地方と言うべきか、大阪府、和歌山県、奈良県、京都府、兵庫県を襲いました。
最大瞬間風速58.1mの風に抗しきれなかったタンカーが関空連絡橋に激突した事故は有名です。
大阪湾の沿岸地域では高波と高潮の波状攻撃に遭い、多くの自動車や家屋が水没しました。
特に厳しかった暴風により、駐車車両や、淀川を渡るトラックが横転し、川へ転落寸前になりました。
工事現場の足場が倒壊する事例は数多く、ショールームガラスが全部割損している光景も見られました。
2019年も台風被害の年だった
昨年の事なので、鮮明に記憶している人が多くいると思います。台風何号だったか覚えていますか。
台風15号と19号が、関東地方から東北地方、甲信越地方にかけて、甚大な被害を及ぼしました。
千葉県市原市のゴルフ練習場のネットと支柱が強風の影響を受けて倒壊し、周囲の多くの家屋を破壊しました。
北陸新幹線の車両基地では、台風がもたらした豪雨による洪水被害を受けた車両水没被害が出ました。
千曲川が氾濫した長野県上田市では、多くの家が流され、ヘリコプターで救助される人が続出したのです。
2020年の台風被害は
台風8号、9号、今接近中の10号により、奄美沖縄地方から九州各地に多くの被害をもたらしています。
今年の台風は例年と比べると10個以上少ないですが、ここからは例年並みに発生するでしょう。
2年前の今頃は、東海地方や近畿地方、昨年は関東地方などを急襲しているので、やがてやってきます。
台風発生件数が少ない理由は別として、本州に上陸しないのは、高気圧勢力が関与しているだけです。
盛夏を超えた9月5日現下では高気圧勢力は弱わり始めているので、台風は本州に近づき始めます。
昨年に比べて1か月以上遅いだけで、本州も本格的な台風シーズンを迎えて、被害が出るはずです。
台風を警戒すべき理由は
台風が発生し発達しやすい状態は、海面温度が28℃以上に達する夏期にある事が知られています。
今年の日本近海の海面温度は例年にない高温になっており、その範囲は列島沿岸に達しています。
黒潮と別れて北上する対馬海流が流れ込む日本海沿岸でさえ、海面温度が30℃近い状況にあります。
台風の影響を受けやすい東京、神奈川、静岡、愛知、大阪など太平洋に近い地域では、より警戒すべきです。
水の温度は空気よりも上がりにくく、太陽光の影響を受けて上がるには、およそ2カ月かかると言われています。
温度が上がりにくい海水の温度は下がりにくくもあり、台風が発生し発達しやすい条件が続きます。
例年に比べて1か月以上時期がずれているだけで、今からが本格的な台風シーズンに入るのです。
異常に高い海面温度は、台風を発生、発達させやすいので、特別警戒級の台風が頻発する可能性が高いのです。