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日本の排他的経済水域でレアメタルの採掘に成功はリチウムイオン電池生産に光明

日本の領海や排他的経済水域の海底または地中に多くの地下資源(レアメタル、レアアース、原油、メタンハイドレートなど)が埋蔵されていることが知られていましたが、このほどコバルトやニッケルを含む鉱物の採取に成功したそうです。スマートフォンやタブレット、モバイルPCに欠かせないバッテリーの供給に自由度が増す事になり、大きな国益が期待できます。

金属類は輸入に頼っている

ご存知のように我が国日本では、ほとんど金属が産出されることはなく、ほぼ全量を海外からの輸入に頼っています。

鉄鉱石やアルミの原料であるボーキサイトは、オーストラリアから輸入していると社会科の授業で習いました。

その昔「金銀銅」などの貴金属が日本各地の鉱山で採掘された時代がありましたが、採り尽しと採算性の悪さから終わりました。

このように一般金属、レアメタル、レアアース、貴金属までほぼすべてを世界各国から輸入するのが台所事情です。

レアメタルとは

私たちの生活圏内には多くのメタル(金属)が使用されていますが、レアとは「希少」「稀な」という意味がありますので、レアメタルとは「希少金属」だという事になります。

鉄やアルミ、銅、亜鉛などのベースメタル、金銀などの貴金属を除き、産業利用されている非鉄金属を言います。

例えばレアメタルとはどんな物があるのか、「リチウム」「チタン」「クロム」「コバルト」「ニッケル」「ゲルマニウム」「ジルコニウム」「モリブデン」「タングステン」「白金」などです。

レアアースとは

レアアースは希土類元素と呼ばれる「17元素」です。希な鉱物から得た酸化物から取り出された物質です。

ネオジム磁石って聞いたことがないでしょうか。ネオジムと言うレアアースが磁石の原料になっているのです。

貴金属やレアメタルのように聞きなれていないので馴染みを感じませんが、私たちの生活で欠かせない物ばかりです。

洗濯機、冷蔵庫、エアコン、ハードディスク、携帯マナーモード時の振動もレアアースが使われています。

メタンハイドレートとは

メタン分子が水分子と結合し、低温で高圧の条件がそろった環境で生成されるエネルギー固体です。

燃やした時に発生する二酸化炭素量は石油などの半分程度であるため、温暖化抑制に寄与するエネルギーです。

地上で生成されることはなく、海底に埋蔵されています。レアメタル、レアアース、メタンハイドレート全部が海底です。

レアメタルがどれだけ採れるのか

今回採掘されたコバルトやニッケルは、リチウムイオンバッテリーに欠かせないレアメタルで、中国からの輸入に依存していました。

これらを採掘できた場所は南鳥島近海の約1000メートルの海底で、コバルトは日本の消費量の88年分、ニッケルは12年分あるという。

日中間における国際的な関係改善が難航している状況下において、国産化の道が拓ける可能性は大きな朗報です。

通信機器用バッテリー

高速通信規格である「5G」時代が始まろうとしている中、端末機器生産者からの需要が多く、取引価格が上がっています。

現在「5G」規格の通信が出来る環境はかなり限定的ですが、やがて「普通」「当たり前」の規格になるはずです。

通信機器は益々増えて行く傾向にあり、猛暑、酷暑に欠かせない空調服に使われるリチウムイオンバッテリーは需要増傾向でしょう。

国際的な環境負荷軽減要請から、ハイブリッドカーや電気自動車に使用されるバッテリー需要が更なる後押しをします。

国産化のメリット

鉱物を掘削するのは人。その人件費が安い国から輸入する方が、価格メリットを多く享受する事ができます。

でもそうはならないのがレアメタル。なにせ「希少金属」だから、産出される国は強気に出てくるのです。

今現在日本がレアメタルの大半を輸入している相手国は、国際関係が良くない「中国」なので、不安定になります。

これが中国以外の国々であっても、輸送コスト、関税コストが発生するので、自国産出は多大なメリットがあるのです。

供給してくれる国があっても小国であればそれは不安定で、安定供給でなければ意味がない点でも国産化は凄い事なのです。

スマホが安くなる期待

リチウムイオンバッテリーの根幹であるコバルトやニッケルが領海や排他的経済水域で産出されるのです。

このニュースを聞くと、多くの人が生活必需品になってきたスマホの価格が下がるのではと大きく期待するでしょう。

少しは下がる傾向になるでしょうが、スマホの構成部品は、その他多くの電子部品で構成されているのです。

バッテリーの値段が下がったくらいでは、スマホ端末の価格が劇的に下がるという期待は持てないでしょう。

スマホ価格が安定する期待が大事

もし今よりも日中関係が悪化した場合、日本にレアメタルを輸出しないという強硬策を講じてくる可能性があります。

そうなるとスマホ端末価格は、高騰を極める可能性と危険性が残り、これを無視した消費者側の期待感になります。

中国以外でもレアメタルは採掘されますが、供給する国が小国であった場合、不安定で価格変動が大きくなります。

でも国産化できるようになると、輸入先の国々の事情や意図に関係なく、安定的に供給される恩恵の方が大きいのです。

資源採取の困難さ

日本は鉱物資源やエネルギー資源が乏しい国で、昔盛んであった金山や銀山はほとんど閉鎖されています。

1968年の国連の海洋調査で尖閣諸島の海底には巨大な油田が存在すると発表されると、中国が領有権を主張し始めました。

時の為政者は、日中国交正常化を優先するためにこの問題を棚上げしたので、資源開発に着手できませんでした。

その後の海洋調査や地質調査で、日本の領海や排他的経済水域には、多くの資源が埋蔵されている事が次第に判りました。

しかし地上ならまだしも、深い海底付近やさらに地中に眠る資源を採取するコストは膨大過ぎて採算が合いません。

さらに地下資源が埋蔵されている場所の特定が難しい状態にあっては、探し当てる事は至難の業になってきます。

何が光明なのか

海底資源が存在する場所をかなり正確に探し当てる技術が次第に現実味を帯びてきたのが今回の発表なのです。

レアメタルやレアアースは非鉄金属、希土類元素なので、場所の特定が正確に出来れば採取効率が高まります。

昔は場所の特定が難しかったのですが、調査研究が進み、かなりの確度で探し当てる事が出来るようになりました。

一方、海底の高圧下で存在するメタンハイドレートは、掘削すると極端に圧力が下がるので、一気に気体化します。

手にした時には、そのほとんどが蒸発して無くなってしまっている可能性が高く、採取が難しい資源です。

こちらも採取技術が向上してくると、採取効率が高まり、やがて採算ラインに乗り始め、活発に生産される日が来るでしょう。

メタンハイドレートの埋蔵量はまだはっきりしませんが、今判っているだけでも1000兆円規模に達すると考えられています。

資源に乏しい国だと思われてきましたが、実は日本は資源大国の道を歩み始めるかも知れない事が大きな光明なのです。

国益が大きくなると、社会保障や行政サービスが厚くなり、国家財政も健全化に向かうので、結果的に私たちのためになるのです。

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